ああああ

漫画・本・映画・演劇・その他コンテンツの感想を書く場としてがメイン。日本語の練習を兼ねています。

「キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン」と「ブラックホークダウン」を観た。

本当は「ダークナイト・ライジング」も観たのだけど、その感想は以下のツイートで完結している。

キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン」は、前編英語音声+英語字幕で見たので理解しきってない部分があるかもしれない。
口先一つで周囲を騙し延べ6M$分の小切手を濫造した男の話。
主人公を追うFBIが良い味出してて、初対面でなんとか逃げ延びるシーン、電話をかける相手が居ない寂しい人間だと看破するシーン、会話の節々から徐々に追い詰めていくシーンがよかった。
また、嘘をつき続けてきた主人公が妻のことを信じ切れずに迎えに行けない場面もよかった。
主人公と対照的に警官が誠実で、フランスで主人公を説き伏せるシーンで、騙したんかーいと思わせてやっぱり真実を語っていたとわかる場面は上手いなと思った。観客の予想を的確に操作している。

ただ少し長い。逮捕されてからも20分ほど続くのでうんざりした。しかし、本作は自分の手の届かないところで家族が変化してしまったことを受け入れられない幼稚さを持った主人公が、家での末なんとか自立する話なので、結末まで描くことは必要だったとは思う。


ブラックホークダウン」は、台詞も早いし読んでもわからないので日本語字幕で見た。
ソマリアの紛争にアメリカ軍が介入して失敗する映画。
単純だと予想された作戦が、ふとした事故をキッカケに段々陣形が崩れていき泥沼化。多くの犠牲を出しつつからがら撤退する…という145分の映画。つらい。
まず見ていて辛いのは、軍隊の行動原理が僕には全くわからないこと。たぶん僕の想像力が貧困なのだと思う。
キリスト教では最後の審判後に肉体が復活することになっているからか知らないが、アメリカ軍はとにかく兵士の死体を極力持って帰ろうとする。*1全員で帰れ。Leave No One Behind, even if they are dead.である。そもそも作戦が崩れ始めたのは、たったひとりの負傷者を本部基地に戻すため3小隊を帰還させたからだ。そこから援護射撃が減り、ヘリが一機RPGに撃たれて墜落。今度はそのヘリを助けに行くために人員を割く。しかし墜落地点は結構遠い。だから兵士が更に撃たれる。そういう悪循環。
戦場で怪我した人間なんてとりあえず放っておけよと思った。実際、本部への輸送中に一人撃たれて死んでいる。合理的じゃなくない?

第二に辛いことは、戦闘の目的が完全に見失われていたこと。これは映画としては意図的なことなんだろうけど、凄惨な殺し合いの先に何があるのか全く見えない。暴徒の中に置き去りにされ、弾のある限り民兵を撃ち続ける。それがいったい何になるんだ。弾倉は助けが来るまで持ちそうになく、敵の数は圧倒的。それでも殺す必要があるのか? 言葉も通じない民兵にだって家族がいるしこれまでの人生もこれからの未来もあるってのに。
ソマリアの紛争を止めるためにアメリカ兵は命を懸けているのだけど、それは個々人の信念とは無関係のところで動いている政治的要因であって、彼らが命をかけている現状に疑問を抱くのは当然だと思った。兵士は「仲間のために戦っているんだ」「英雄になりに行くわけではない、結果的にそうなる」と言うけども。まぁこの「仲間」が、アメリカ兵だけでなく、自由と平等を求めるソマリア国民も含んでいるのかもしれないと思った。そう考えると、僕なんかよりもずっと実践的な平和主義者だ。

この疑問が生じたのは、多分、命からがら走って帰ってきたアメリカ兵を、ソマリア民間人が、笑いながら迎えるシーンが有るのだけど、そこがイマイチ歓待しているように見えなくて、バカにしてるのかと思ってしまったからだと思う。

アメリカ兵は、僕の目には大きな流れのなかで命を捨てさせられる哀れな捨て駒にしか見えなかったし、カッコイイとか美しいとか言った感情は呼び起こされなかった。
本当にソマリアの平穏に一役果たせたのか? その結果、殺した民兵より多くの民衆を、救うことが出来たのか?

そこが見えない以上、なんとも思えない。相手を殺す以上、戦争について肯定的な評価はできない。

*1:この話を友人にしたら、「軍隊って大抵そうじゃないか?」と言われた。真偽の程はわからない。