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ああああ

漫画・本・映画・演劇・その他コンテンツの感想を書く場としてがメイン。日本語の練習を兼ねています。

何が起きてるんや! 吉田寮入寮停止告示の問題点と経緯まとめ

(この記事は団体交渉に参加した一人としての意見に過ぎず、自治会の公式な見解を示すものではありません。何か問題があったらすぐ対応します。)

2015年7月29日、京都大学のホームページに以下のような告示がされました。
吉田寮自治会への通知について — 京都大学

京都大学吉田寮の現棟は、平成17年度および平成24年度の耐震診断調査によって、耐震性を著しく欠くことが判明しています。今のままでは、大地震が発生した場合、建物が倒壊または大破し、寮生の生命が危険に晒されることが憂慮されます。
 学生寮について管理の責務を負う京都大学としては、寮生の安全確保を最優先する観点から、寮生の皆さんには、本年4月に竣工した新棟に順次転居してもらい、現棟の居住者をできるだけ速やかに減少させることが必要と考えています。
 このため、平成27年7月28日付けで、吉田寮自治会に対して、次の2点を求める「吉田寮の入寮者募集について」という通知(杉万俊夫 学生担当理事・副学長名)を発出しました。
1. 吉田寮の新規入寮者の募集については、平成27年度の秋季募集から行わないこと。
2. 吉田寮の寮生の退寮に伴う、欠員補充を目的とした募集を行わないこと。
 なお、新棟については、吉田寮生の一時的な居住場所として使用する期間の経過措置として、寮費を現行の月額400円のままとするなど、大学としても速やかな転居を後押ししていきます。
 京都大学は、今後とも、質の高い高等教育学術研究を推進していくための環境整備に努めていきたいと考えています。本学学生、教職員のご理解とご支援を引き続きよろしくお願いいたします。


この文書の問題点は以下です。(太字はすごく重要)

1.入退寮選考権は自治会の重要な権利の一つであり、当局側がそれを弾圧することは吉田寮廃寮に直接繋がりうる重大な自治侵害行為である。
2.この提案は吉田寮自治会との議論を経ずして発表されたものであり、これは自治会との対話を放棄しないという確約に明確に反している。

3.公式HPで告知することによって、権威的な裏付けが為されてしまい、誤解が拡散される。


そして自治会側は「告示の即時撤回」と「団体交渉の再開」を要求すべく杉万副学長と即日交渉をしました。

以下、それぞれの問題について詳述します。

1.この告示には、「現棟の居住者を減少させ」た後、何をするのか含まれていません*1
歴史的事実として、日本全国の多くの学生寮が「入寮選考を停止」→「居住者減少」→「廃寮」という段階を踏んでいったという事情があります。
吉田寮としては、廃寮に直接繋がりうる「入寮選考を停止」という危険な訴えかけが、当局HPから公的に為されたという事実を重く受け止め、マジでヤバイとふざけるなと抗議している、ということです。

2.さらに、この提案は、2015年2月19日の杉万副学長を含む学務部と吉田寮自治会の団体交渉において、既に一度撤回された内容です。当局側は「現棟の耐震性を調査するために、現棟を空にして欲しい」という提案をしましたが、自治会は「調査は寮生が居住した状態でも可能である」「調査の具体的日程、手法などが全く未定のまま、寮を一旦空にしろという提案は到底信用出来ない」と、交渉において反対。議論の末副学長の合意を取り付け、この提案は交渉のなかで公式に撤回されました。
しかし、次の3月9日の交渉以降、7月29日に至るまで団体交渉は行われませんでした。それは、自治会の再三の要求にもかかわらず、学務部から「現在は交渉を行える状況にない」と拒否されてきたからです。そして昨日、ホームページにこの告示が発表されました。そして現在も、(仮に)寮の居住者を減らした後どうするのか、という具体的なプランは一切示されていません。
「話し合いはしない」「プランはない」「とりあえず出て行け」って、ヤバくないすか? 「廃寮なんて考えてもない」って信じられます?

3.吉田寮はそもそも、多くの経済的に困窮している学生の「大学に通う権利」を保障するために存在しています。日本はこの60年で、国立大学の学費は20倍近くに高騰、一方公的な給付型奨学金は消滅、要返済の「学生ローン」のみになりました。そんな中、吉田寮は今も「年三万円」という非常に軽い負担で居住することが出来ます。
しかし、経済的に厳しい状況にある日本・諸外国の学生が、京大公式の発表を見て進学を諦めてしまう、ということは十分あり得ます。また、経緯を知らない人々が、間違った意見を拡散してしまう可能性もあります。
例えば、このツイートでは、あたかも募集停止が既成事実のような見出しに変わっています。

以上のような理由から、この告示は「黙って無視しておけばいい」という類の問題ではありません。

・付加説明
Q.吉田寮自治会は補修に反対してるん?
A.むしろ逆です。現在話し合いは難航していますが、吉田寮自治会は何十年も前から補修を要求してきました。当局側がそれに応じてこなかったため、ついに建築年数は100年を超えてしまいました。自治会が耐震調査を計画し、大学に提案しても「予算がつかない」など、交渉で拒絶してきました。そして今、その責任を全て寮生側に押し付ける提案を、交渉なしに発表しました。
だから揉めてます。

Q.つーかもう吉田寮は無理でしょ? さっさと壊して建て直したほうがいいんでは?
A.寮は補修で十分耐震化は可能であり、補修する方向で調査・議論を進める。というのが交渉で合意された内容です。
それは建築士の方の調査を依頼した上での結論ですし、また、築100年を超える貴重な大正建築である吉田寮の文化的価値を尊重した上での結論でもあります。

この記事でも詳しく述べられてます。urotsuqu.hateblo.jp

結論:団体交渉に来よう!

学生と大学は、歴史的に、この「団体交渉」で意見の折衝を行ってきました。学生がわらわら集まって、職員や偉い大学の先生と話す場です。なんで団体で交渉するのかというと、大学当局と比べて学生は弱い立場にあるからです。

吉田寮の問題は、現在吉田寮に住んでいる人だけの問題ではありません。
潜在的には誰もが経済的困窮者になるかもしれませんし、未来の入寮生たちの権利を守ることは、今大学にいる私達の責務だと思いませんか。
団体交渉は今、「参加者が少ない」という最もラディカルな危機に瀕しています。
京大でも今、「政治的に行動するのは危ない人だ」みたいな風潮が一般化してるように思います。それは様々な要因があると思いますが、ここではそれには触れません。でも、寮を潰そうとする明確な流れがあって、そこに対抗できるのは、自分たち以外には居ないんです。当然のようにそこに存在しているようにみえる心地よい空間は、先人の努力があってかろうじて成立しているものなんです。それがずっと続くなんて保証はどこにもありません。

自由の学風は自然にそうであり続けるわけではないんです。必死な議論の結果手に入れるものなんです。
少しでも興味を持っていただけたら、一度でも良いので足を運んでみてください。*2
京大生である必要もなく、問題に関心のある方は遍く歓迎されます。
最新の情報は、以下のアカウントで得られると思います。(寮の公式アカウントではないです)


3行で分かる団体交渉の注意点

・個人名・役職を呼ばない(あとでいじわるされるかもしれへん)
・あくまで自治会と当局の交渉なので、勝手な妥協案を出さない(寮側と話したいときは寮に行こう)
・暴力とか違法行為は絶対だめ(あたりまえや)

なにかあったらその場の詳しそうな人に聞こう。
おわり。

*1:勿論、2015年7月29日の即日抗議交渉にて、杉万副学長は「執行部に廃寮させるなどという意思は全くない」と発言していますが、実際に自治会との信頼を裏切る行為をしている点、仮に今無くとも、体制が変わるなかで廃寮化への動きが生じると否定出来ない点から、信頼に足るものではありません。

*2:ただ、団体交渉もそれ自体に問題が無いわけではない(と思う)のでそれについての記事もまた書きたいと思います……。